【食中毒】カンピロバクター(京都市)

【食中毒】カンピロバクター(京都市)

京都市は6月20日、市内の焼鳥居酒屋で食事をした19~28歳の男女7人が下痢や腹痛、発熱などの症状を訴え、5人からカンピロバクター菌を検出したと発表しました。全員軽症で回復に向かっているとのことです。
市は食中毒と断定し、同店を20日から22日まで営業停止処分にした。市によると、7人は11日夜に同店を利用し、砂ずりやササミ、つくねやチキン南蛮などを食べたとのことです。カンピロバクターは、中心部までしっかり加熱することで死滅しますので、原因は加熱不十分の鶏肉摂取もしくは食材の不衛生な取り扱いによる食中毒だと思われます。

鶏のカンピロバクター保有率は、季節によって変わります。春から秋にかけて約60%、冬季は約30%の調査結果(平成25年 農水省調べ)があります。高確率で保菌しているため、鶏肉の取り扱いを十分に注意していても食中毒を完全に防ぐことは難しいと思います。

それでも鶏肉の生食の提供が禁止されていない理由としては、カンピロバクターによる食中毒は、症状が軽く重症(死亡)事例が起こらないことや日本の食文化が影響していると思われます。とくに九州地方では昔から生の鶏肉を食べる文化が根付いています。
そのため全国では宮崎県と鹿児島県だけが生食用食鳥肉を取り扱う衛生管理目標を設けています。文化を守るため、生食用を提供することを考慮し、あえて管理目標を設けて食中毒の発生防止に努めています。
その甲斐もあり宮崎県と鹿児島県でのカンピロバクター食中毒事件は、ゼロではありませんが全国に比べても比較的少なくなっています。

ただ、管理目標は鶏肉を衛生的に取り扱うことによって食中毒の発生リスクを軽減していますが、もともと鶏肉には上述のように高確率で保菌しているため、完全にリスクをゼロにできるわけではありません。国の考え方は禁止にはしないが「生食での摂取は控えましょう。」です。
また、カンピロバクター食中毒の合併症によってギラン・バレー症候群(神経麻痺)を引き起こすこともあるため、やはり提供する側も食べる側も一定のリスクがあることを前提に考えておきましょう。

参考(外部リンク)-生食用食鳥肉の衛生対策(宮崎県作成)-

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